今のこの時期、結婚式の現場の対策や雰囲気は?現場のリアルな現状をリポートします
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、ずっと頑張って準備してきた結婚式、披露宴の開催を中止したり延期したり、あるいはどうするべきか検討中のカップルさんが多いと思います。つらいですよね…。お察しします。一方、今のこの状況下でも予定通りウェディングパーティーを実施しているカップルさんがいるのも事実。司会者としてウェディングの現場でお手伝いをする立場にいる者として、今のウェディングの現場はどんな状況なのか。地域や会場によっても違うとは思いますが、私が実際に見た事例を参考に、現場の今をお話します。
スタッフの感染拡大防止策は?
到着してすぐ、受付で検温が義務付けられています。37.5°以上だった場合には、そこから中に入ることは許されません。プランナーでも司会者であっても、いかなる立場にある人も入館できません。
幸か不幸か、今は多くの司会者が婚礼延期によってスケジュールが空いていますので、万が一担当司会者が発熱で帰宅することになっても、すぐにピンチヒッターが手配できる環境です。サービススタッフや音響スタッフ、フォトグラファーなども同様のことが言えるでしょう。スタッフが発熱したことによりお願いしていたサービスが受けられないというようなことは、現状まずないと思われます。その点はご安心ください。
またその他には、会場に入る前の手洗い励行、アルコールによる手指消毒、マスク着用が義務付けられています。なお私たち司会者の場合は、写真に写りこむことが多いこと、アナウンスが聞こえづらいことなどの理由により、マスク着用は原則無しですが、新郎新婦様からのご要望があれば着用しています。スタッフの中で一番たくさん喋っているのは司会者。気になる場合は、遠慮なく新郎新婦のお二人から着用をリクエストしてくださいね。
設備やサービス上の工夫はどんなことをしているの?
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、三つの蜜「密閉、密集、密接」を避けること。
ゲストハウスなどの場合は、ガーデン入場ができる大きな扉が設置されている会場をよく見ます。その扉を、30分に1度は必ず開放し、密閉を防ぐ対策をしています。ホテルの場合ガーデンはなくとも、ロビーと繋がるドアを開放することで密閉を防いでいるようです。同時間に同じフロアで複数の宴席が行われる場合は難しいですが、そうでない場合はそうした対応で密閉を防いでいます。
また、置き型のウイルス除去剤を置いたり、空気清浄機を置いたりする工夫がみられる会場もあります。ただ、除去剤や空気清浄機が新型コロナウイルス感染拡大防止にどこまで効果をもたらすことができるのか、現時点では科学的な立証はされていない場合が多いですので、その点は注意してください。
ドアノブやイス、テーブルなど人がよく触れるところは、通常よりもこまめに、念入りにアルコール消毒を実施しているのを目にします。
ビュッフェは中止して各人にプレート提供する方もいれば、おもてなしのひとつとして予定通り行う方もいます。ビュッフェを実施する場合は、トングは1人が使用し、共用は中止しています。また、通常はゲストがセルフでとりわける会場も、サービススタッフによる取り分けに限定するよう変更しています。
延期か中止?みんな実際どうしてる?
地域によっても異なるでしょうが、私が住む広島では2月中旬あたりから中止、キャンセルを申し出る方が出始め、3月に入り一気に増えた印象です。開催時期が3月~5月の方がほとんどですが、秋に予定されているお客様からもご相談が出始めました。そして圧倒的に延期が多く、中止決定はあまりありません。延期後の日程は、早い方は秋、遅い方は一年後ですが、多くは12~1月に変更される方が多いように感じます。もちろん、コロナに関係なく、春や秋は婚礼ハイシーズン。すでに他のカップルのご婚礼予約で埋まっているところも多いため、おのずと日程を押さえられやすい冬場への変更が多くなっている、ともいえるでしょう。
中止の例は、医療従事者や海外在住者の方などで中止決定の事例がありました。私が担当する予定だったあるお客様はアメリカ在住。延期をするにしても、今の時点で具体的な時期を決定することができないため、やむなく中止の判断をされました。一か月半前のご決断だっただけにとても気の毒でしたが、「終息後に必ず、何年後になっても結婚式はする!」という言葉を聞いて、少しほっとしました。
実施したパーティーの雰囲気はどう?
当初予定通りにパーティーを実施されたお客様もゼロではありません。「いろいろ不安だったけど、やっぱり結婚式、やってよかったって思います!」新郎新婦様や親御様からそんな声を聞くと、お手伝いしてよかった~と思えます!
実際の現場の雰囲気について。待合や挙式中はマスク着用のゲストも見受けられますが、宴中は着用無しのゲストの方が多いです。お食事を伴う場所なので、付けたり外したりの回数が多くなってしまうのも煩わしさを伴うようです。
またゲストの欠席がゼロだった、というご婚礼は、残念ながらありません。遠方の方、小さなお子様がいらっしゃる方、妊婦さん、ご高齢の方などを中心に、欠席を申し出る方がいらっしゃるのが現実です。しかし欠席される方もお祝いの気持ちはちゃんとあるようで、祝電やバルーン、お花、メッセージビデオなど、それぞれに祝福の気持ちを届けてくださっていますよ。
一方でご家族や近隣のご友人を始め、遠方ゲストでも出席される方も見え、欠席ばかりで席がガラガラ、という印象はありません。もちろん、会場側の努力もあります。テーブルの数を減らしたり、席の感覚を広めに空けるなどして、空席を目立たせない工夫をしています。
そして、これはぜひプレ花嫁の皆さんにお伝えしたい!ゲストがとても温かいのです!ご友人のスピーチでは「お前の選択はいつでも間違ってない。迷わず、(花嫁)さんをリードしろ!」、「今日来られなかったみんなも、二人の幸せを心から願っています。これは本当です。むしろ、来ることができなかったことを悔やんでいました。」などといったお言葉が聞こえてきます。この時期と結婚式が重なってしまった新郎新婦に対して、エールを力強く送られる方々が多く見受けられ、その温度感がいつもより高い気さえします。メインテーブルにいる二人の元にもたくさんのゲストが押し寄せ、体を寄せあいながら写真撮影するなど、いつもと変わらない光景が見られています。
カップルさんには、それぞれの事情があります。延期か中止か、それとも予定通り実施か。どの選択も、お二人やご家族で話しあって決めたのであれば、それは間違った選択ではないと思っています。あとはその選択に応じて、情報をしっかり取りに行くことが大切です。担当プランナーさんはもちろん、私も力になります。いつでもご遠慮なく、ご相談くださいね。
編集者プロフィール:笹木 純子(ささきじゅんこ)
Infinity(インフィニティー)代表 / 株式会社ブライトブライズ認定 花嫁レッスン講師 / 1級ブライダルコーディネート技能士(国家資格)
ブライダル司会者として15年のキャリアを持ち、和ごころ結婚式「いとむすび」司婚者、ブライダル系専門学校非常勤講師、広島ブライダル振興研究会理事などを歴任。これまでに担当したウェディングは900件を超える。株式会社ブライトブライズ認定 花嫁レッスン講師として、結婚式のための立ち居振る舞い指導も行っている。得意分野は所作アドバイス、和婚作法、司会者選び、演出アドバイス。